2019 大宮アルディージャのトリセツ ver1.00(11節終了時点)
0.はじめに
こんにちは。最近のマイブームは乃木坂のまっちゅんでおなじみのメキシコです。このままだと、Twitterを乃木坂アイコンにしてしまいそうなので気持ちをリトリートしてます。
さて、書くぞ書くぞーと言っていたので、今か今かと待ちわびた奴がどれくらいいるのか分かりませんが、かなり迷いながら(ウイイレの誘惑に)流石にこの度まとめるに至りましたので、今から黙らせたちまち沸かしたいと思います。
今回は、GW特別編という事でここまでの振り返り記事になります。
これから色々と書いていきますが、全体の構図としては
- これまでの戦い方の整理
- 数値での比較
- 課題点
- まとめ
としてます。
という事で、令和もスタートしましたし!GWが終わる前に振り返っておきたいそこのあなた!
仕事したくない!学校行きたくない!大宮のことだけ考えていたい、そんな君!
この記事で是非整理してみてください!
※因みにデータ等は愛媛戦前までのものになります。
1.高木大宮スタイル
まず、今シーズンの大宮のスタイルを4つのフェーズ(攻撃、守備、ポジトラ、ネガトラ)で振り返りましょう。
フットボールは大きく4つのフェーズで分けられ、基本的にはこの繰り返しであると言われています。ざっくり説明します。
①攻撃
後ろからどうやってボールを動かして相手の陣地に侵入し、ゴールを奪うかということです。
②ネガトラ
ネガトラとはネガティブトランジションの略で、攻撃⇒守備に切り替わる際の事を指しています。被カウンター時、と覚えておけばいいですかね。ちょっと違うんだけど。
③守備
相手の攻撃をどの様に防ぐのか、例えばリトリートなのかフォアチェックなのか、どういう守備陣形なのか、といったことです。
④ポジトラ
ネガトラの逆、ポジティブトランジションの略です。守備⇒攻撃に切り替わる際の事を指します。 とりあえずカウンターで覚えておけば良いかと。
ということで、この4つの視点から2019の大宮をひも解いていきたいと思います。
1)攻撃
①3-2-5
と言ってもですね。
大宮サポの方は、この前送られてきたVAMOSを片手に見ると良いでしょう。
ほとんど同じこと書くことになると思います(笑)
VAMOSでは攻撃時3-4-3と記載されています。それでも問題ないですが、俺はよく3-2-5(下図1)と言ってますね。
これはVAMOSの通り、両サイドのWBが高い位置を取る事で前線の5枚で攻撃を仕掛けるものです。
普通に考えて相手が4バックの場合は1人多い数的有利な状態、5バックでも同数です。
また相手が2トップの場合は後ろの枚数でも数的有利な状況が作れます。
相手が4-4-2の場合は、WBを相手SHが見るのかSBが誰が見るのかという問題も発生します。今回、図で例を出しているものについては相手SBがWBの対応をすることを想定してみました。
上図1ではWBが下がって貰いにきて、相手SBが釣り出されようとしています。
釣り出された結果、SB裏のスペースが空くので大山に1度当てて、茨田がスペースに侵入する(下図3)という形になります。こんな形、何か見たことありますよね?
ファンマがサイドに流れている、スローイングから等、若干状況が違いますが、敵陣深い位置で似たような崩した場面も実際にあります。
3/23・水戸戦 34分 右サイドを綺麗に崩して #8茨田 が 左足でシュート
②4-1-5
ただ、これだけではなく相手のプレッシングや守備によって4-1-5にする場合もあります。
この場合、最終的に両端のCBどちらかが1枚上がっていくことになるので、数的有利な状況とマークがズレることによって、フリーになる選手を発生させ攻撃を仕掛けることが可能になります。
特に、相手の前3枚がプレッシングをしてくるようなチームだと、3-2-5ではハメられる可能性があるので、4-1-5でビルドアップする事が多いと思います。以下、例ですが、
河面に入ったボールに対して相手STが付く、と同時にWBが下がって貰いに来て相手WBを釣り出します。
けどCBが埋めれるやんって感じですが、大前とファンマの動き次第で留めることができます。
とりあえず今回(上図5)ではファンマが相手右CBの方へ動き出しつつ、酒井が大前に当てることとします。また、同時に河面が相手WBが空けたスペースに走りこみます。
という事でファンマに惑わされたCBが出遅れて河面がスペースで受け取るという場面を想定してみましたが、これも何となく見たことあるんじゃないかなと思います。
因みに右CBが素直に大前や河面に引っ張られると中央が空きますので、いずれにしてもこちらの有利な状況には変わりないです。
これの超応用編が横浜FC戦の1点目でしょうか。ゴールキックを酒井が収めた後、ここでは大前が外に流れてキープしファンマに当ててサイドチェンジというものでしたが、河面もしっかりとサイド裏に抜け出しています。
4/14・横浜FC戦 29分 #22フアンマ を起点とした展開から最後は自身が押し込み先制ゴール!
という事で、大宮は2つのビルドアップ方法を用いながら攻撃を仕掛けていきます。
今のところハッキリしているパターンは3つ。
①サイドからの連係による素早い崩し
②三角形形成による敵陣深い位置への侵入からのクロス(+逆WBのPA侵入)
③フィードをファンマに収めてからの展開
です。これらから派生して、例えば先ほどの動画の様にサイドチェンジしたり、或いはDHがバイタルに侵入したりとしますが、いずれにせよ、ベースが仕込まれた再現性のある攻撃が出来ているんじゃないかと思います。
って事で、攻撃は大体この辺を抑えとけば良いのではないでしょうか。
2)ネガトラ
攻撃時に全員が参加してたら当然カウンター喰らってジエンドですよね。
因みに昨シーズンは結構それに近いところがありました(笑)
今はどうかというと、完璧ではないものの予防線は張っている、といったところでしょうか。
図3でボールを奪われた後を想定してみました。
実際は全体がボールサイドに寄る事になると思うので、そこを加味して作図してみましたが、一応遅らせることは出来るかなぁといった印象はあります。
奪われたら即時奪回するという守備ではなく、中盤で刈り取るか攻撃を遅らせる、といった手法になるのかなと思います。
因みに、4-4-2アタックをすることが稀にありますが、あの時は図7の内サイドバックが更に上がって攻撃に出ていることがあるので、通常よりもだいぶリスキーです。点を取らにゃいかんので当然ではあるのですが。
だから、「4-4-2の方が良い」とかいうのは論点が違うよってことなんですね。4-4-2というか、あれは攻撃時2-2-6(で守備時4-4-2)みたいなイメージの方が良いかもしれません。
3)守備
上図8、9の通り、守備時は2パターン。3-2-5で中央制限⇒ハーフウェイライン付近からプレッシングor5-4-1でのコンパクトなブロック守備でスペースを与えない、というものになります。
その見分け方ですが、敵陣での守備の際には5-2-3、ハーフウェイラインから自陣では5-4-1という認識で良いかなと思います。
5-2-3プレッシングはシーズン当初より随分と改善され、今やハマるようになってきました。大前君頑張った。
一方、5-4-1のコンパクトなブロック守備は相手にスペースを与えずかなり機能していると思います。
1つ懸念があるとすれば、サイドチェンジされた際に仕掛けるプレスのタイミングに、ライン間へ侵入されること。
ただ、ある程度致し方ない面もあり、前述の通りプレッシングはハマりつつあるので、今後更に良い守備になっていく事が期待されます。
4)ポジトラ
ん~、無い!
というと誤解がありそうですが(笑)でも、ないです・・・。
横浜FC戦の様に、CKからのカウンターとかはある程度設計はされているのかと思います。が、通常時、要は普通に守ってボールを奪回した後については、即時攻撃をしかけるといったシーンがあまり成功に繋がってない。
上記3)の守備の通り、中盤~自陣で回収してカウンターを仕掛けて未遂で終わる・・・みたいな感じじゃないでしょうか。
という事で、これが現時点での大宮の戦い方なんだと思います。
これらを踏まえ、今シーズンを数値で振り返りたいと思います。
2.数値による比較
※数値はフットボールラボさんより引用
1)スタッツ関係
(順位)
3位(4月28日 11節終了時点)
(平均スタッツ)
★得点数・・・・・1.2得点(リーグ6位)
★シュート・・・12.1本(リーグ11位)
★失点数・・・・・0.7失点(リーグ5位)
★被シュート・・・9.9本(リーグ2位)
★パス本数・・419.9本(リーグ17位)
★クロス・・・・15.5本(リーグ11位)
★ドリブル・・・・9.2回(リーグ20位)
★タックル・・・23.7回(リーグ8位)
★クリア・・・・26.1本(リーグ9位)
★インターセプト・2.2回(リーグ15位)
★30m進入・・・33.9回(リーグ16位)
★PA進入・・・・9.1回(リーグ21位)
★攻撃回数・・127.7回(リーグ15位)
★被攻撃回数 128.0回(リーグ13位)
★ポゼッション 48.7%(リーグ14位)
(CBP関連)
※「どれだけチャンスを構築出来たか」というフットボールラボさん独自の数値。詳細はリンク参照。
★攻撃・・151.03pt(リーグ18位)
★パス・・127.46pt(リーグ17位)
★クロス・・14.46pt(リーグ18位)
★ドリブル・・9.12pt(リーグ20位)
★シュート 74.61pt(リーグ12位)
★ゴール・・36.72pt(リーグ5位)
★奪取・・885.72pt(リーグ16位)
★守備・・165.72pt(リーグ15位)
★セーブ・・・3.58pt(リーグ15位)
(AGI/KAGI)
※ざっくり説明すると、AGI⇒攻撃時どれだけ相手を押し込めたか。KAGI⇒守備時どれだけ相手の攻撃を封じ込めたか。詳細はリンク参照。
★AGI・・・・・・54.4(リーグ6位)
★KAGI・・・・・52.0(リーグ5位)
この数値を見て気になるのが、
- 失点数リーグ5位、被シュート本数についてはリーグ2位という好成績の中、CBPに於ける守備関連の数値は軒並み良くない。
- 一方、AGIはリーグ6位と悪くない数値。にも関わらず、攻撃関連のスタッツがあまり良くない。
- ドリブル関連のデータは軒並み低い。
という点。
そこで他チームと比較してみました。
※尚、比較対象は4月28日時点での昇格PO圏内チーム+α。
2)他チームとの比較
①攻撃pt、AGI、平均得点の相関
攻撃ポイントは、効果的な「パス・クロス・ドリブル」が試合中にどれだけあったか、その総合値的な意味合い。
AGIは簡単にまとめると、どれだけ押し込めたか・ペナルティエリア付近或いは内に侵入出来たか、というものです。
京都を例に出すと、攻撃ポイントはリーグ1位とパスやクロスは出されているにも関わらず、AGIが低い=より深い位置では効果的な攻撃が出来ていないという事となり、結果として得点数にも影響を及ぼしていると読み取れます。
さて、大宮の攻撃ポイントはトップ6の中では少ないものの他チームとは大差なく、相手を押し込めているかを図る数値(AGI)も同様で、結果的には好成績を残せています。
一方、柏レイソルを見ると、シーズン前の評価の通り2軸の数値がリーグトップクラス。唯一ないのが柏サポが嘆いている得点。
これがクリアされれば、恐らく手が付けれない状態になりそうです。
ところで前回のJ2、15シーズンの大宮は「パス・ドリブル」の項目がリーグ1位、総合的にもリーグ1位の数値を叩き出しています。
こうしたことを踏まえると、「J2優勝」にはここで留まる訳にはいかず、攻撃ポイントの更なる上積みが必須であろうかと思います。
因みに、1位になればいいという訳ではないです。他チームよりもう頭一つ抜け出せればな、という感じ。
で、現状最も低いのがドリブルですが、現状在籍しているドリブラーは嶋田のみ。ここでの爆発的な上積みは現実的ではありません(嶋田がダメという事ではないですよ)。
そうなると、パス・クロスの数値をどう上げていこうか、というのがポイントになるのかなと思います。
②守備pt、KAGI、失点数の相関
一方守備について。
まず、この守備ptには罠があって、守備ptは自陣での守備が高ポイントになる仕組みになっているようです。
ということは裏を返せば、押し込まれている時間が長いほどポイントが高くなっていくわけですよね。
現に、栃木のデータを見ると守備ポイントはめちゃくちゃ高いのに失点数は平均1.3点、KAGI(押し込まれなかったか指数:ざっくり)も40を切るという結果。
要はこの数値が低いという事は、相手の攻撃をある程度未然に防げているとも取れる訳です。
その観点から行くと、大宮の数値は非常に優秀な部類に属すると思います。
失点数は平均1点未満、押し込まれてない、守備ptも低い。
理想はまたもや柏になりますが、我々は琉球戦でやらかしてしまったので(笑)
守備面は全然合格点でしょう。
また、押し込まれてないという事はネガティブトランジション(攻→守)もある程度は機能しているとも取れ、守備に関しては数値にしっかり表れていると思います。
3)奪取ptについて
さて、最後は奪取ptについて。
奪取ポイントは、相手からボールを奪取してそれが攻撃に繋がった際の指数とのこと。
また、より高い位置で奪った方が高得点になりすいということです。
で、その数値で大宮は断トツに低い。これはリーグの中でも低い部類に入ってきます。
前項に書きました。
「ポジトラは今んとこあんまない」と。
そのまんま数値に表れている所になります。
因みに前回J2の時も、この数値はリーグ20位になります。
但し、当時と現在ではサッカー界全体のトレンドも様変わりし、カウンターからの攻撃というのは、もはや必要不可欠なものになってきています。シティ然りバルサ然りね。
特に大宮は、今後J1で戦い抜く上では絶対に必要となってくると思いますので、この数値はポイントになるのかなと考えています。
3.今後の課題
さて、ここまで書けば何となく分かると思いますが、大宮の課題は2つ。
- 攻撃の精度アップとパターンの増加
- カウンター攻撃の仕込み
になってくるのかなと思っています。
ただ、「なにをどうすれば」というのが、個人的にもまだはっきり分かっていないというのが正直な所です。宿題ですね。
「攻撃の精度アップとパターンの増加」、特に攻撃パターンについては、縦パスと裏抜け、或いは縦への推進力がポイントになってくるでしょうか。
また、カウンターについては横浜FC戦で良い形が見えましたので、あの手の形を今後もっと仕込んでいって欲しい所。
参考になるか分かりませんが、コンテ時代のチェルシー(3-4-3システム)のビルドアップ動画と解説ブログのリンク、合わせてワールドカップ時のカウンターに対する解説ブログのリンクを置いておきますので、興味ある方は見て下さい。
2017/7/27 Chelsea Build up vs Inter Milano
個人的には今後試合を観る時のポイントは上記2点中心になってくるかなと思いますし、談議会でもこの手の話が中心になってくるかなと思います。
なんか気になる点があれば、今後更新するブログで触れていきたいと思います!
4.まとめ
一応、課題は書きましたが、高木監督自身がインタビューか何かで言っていた通り、ここまでは守備手法を中心に落とし込んできたんだと思います。
多分、これからより守備精度も上がってくるでしょう。
攻撃面でも先ほどの課題の改善や、夏の補強等もあってアップデートされていく様がリアルタイムで見れるんじゃないかと思ってまして、かなり楽しみにしてます。
皆さんもここで書かれている事はあくまで参考程度に、これらを踏まえて一人ひとり思い思いのまま観戦を楽しめたら良いんじゃないかなと思います。
ただ、今シーズンは選手の意識や気持ちの面と同時に、相手の出方を踏まえた戦術の落とし込みや、試合中の采配等が良い方向に動いている部分もあると思います。
その辺も理解しつつ、選手個人も応援できると観戦する楽しみが倍増するんじゃないかなーと思ったりしてます。
先日飲み会でも、「バックパスは悪く捉えがちだけど、それに意味があることを知ると拍手に変わる」という事を仰られた方がいて、全くその通りだなと感じました。
そもそも俺もサッカー素人ですし、このチームについても「スタジアムの雰囲気が好き」みたいな所から入ったので、バックパスを悪く捉えている事もかつてありました。
が、知ると見方が変わるし、そっから色々と興味を持つとスタジアム行くのも楽しいし、見るのも楽しいし、間違った戦い方をしている訳じゃないと分かれば、勝ち負けでイラつくこともないですし、結構いい感じでサッカー観戦出来てるなと思います。
俺はそんな方がちょっとでも増えてくれたら良いなと思います。そしたら、スタジアム全体がもっとポジティブな雰囲気になって、チームも良い方向に進んでくれると信じてます。
このトリセツについても、シーズン前半戦終了時にまた更新予定です。
談議会メンバーで手分けしてやることになったので、俺より博学な教授と助手のお陰で、この内容よりは随分アップデートされた内容になっている事でしょう(遠い目
という事で、これからもどうぞよろしくね(笑)
以上
(PS)
愛媛戦のレビューはほぼ出来ているますが、GW明けてから投稿予定です。修正もしたいので。
選手の頑張りも当然あったんですけど、双方の監督の修正合戦みたいな感じの全体の流れが面白いなと思ったので、そこをポイントにしてみたので、そちらも良かったら是非読んで頂ければ。
※宣伝
大宮アルディージャ大好きな人たちの集い「大宮戦術談議会」という会を開いてます。上記がメンバーのブログです。戦術談議会と言っても結局楽しい飲み会です。大宮で語らいたい人。一人で見に来てて仲間が欲しい人。老若男女問いません。興味あるかたはお声がけ下さい。