【レビュー】2020 J2リーグ MD2 ジェフユナイテッド千葉vs大宮アルディージャ ―あ、これ強いわー
(試合結果)
千葉0-1大宮
1.はじめに
どうも、ご安全に。
色々手を出しすぎて自分でもどうしたいのか分からない、メキシコです。まぁ別に減るもんじゃないし良いよね。
さて、ブログで大宮のレビュー記事書くのは実に9ヶ月ぶりだそう。
因みにザスパの記事とか書いてんだけど誰も見やしない。クソが。
そんな訳で、4か月ぶりに再開したリーグ戦。
それだけで、エモい気分になりましたが、無事勝利もすることが出来ました。本当にめでたい。気分が良い。
試合内容といえば、非常に塩試合。堅い、堅すぎるって感じでしたし寝そうになった人もいるんじゃないかと思いますし、実際談議会のマスコット(だと信じて疑わない者akaぱち公)は寝たらしいです。
結果はウノゼロ、内容もあまり盛り上がる所がないかなってのは何となく分かるし、実際そうだったかもしれません。
試合後に談議会のZoom観戦にお邪魔したけども、そこでも色々な意見がありました。
まぁ、具体的には某〇シまる氏が「橙広場(詳しくはこのリンク参照)」が最高のコンテンツだと騒いでいたことくらいしか覚えていませんが。
(尚、橙広場は良い取り組みだと思いましたし、今後無観客試合意外でも是非継続して欲しいなと思ってます、ワイも)
俺はと言えば、この試合を観てこのチームどんどん強くなってんなと思いました。
Zdenko氏曰く、
「強か」
まさにそんな試合。
シーズンを通して考えればポゼッションの成否ってのがメインテーマになってくるんだろうけど、試合が続くことを考えれば何が何でも勝たなくてはならない試合だった。千葉の攻撃面に課題があることを踏まえても、こういった強かな戦いがシーズン序盤からできるのは相当な強み
— Zdenko革命@不敗の王 (@PO6qmzXGZLZ1QCi) 2020年6月28日
昨年だとこういったゲームで3pt取れてないんじゃないかって思うんですよね。
そういった意味でも強いなと思いましたし、「戦い方」も昨年より更にアップデートされているなと感じてます。
今回はその辺に触れていきたいと思います。
2.前半レビュー
1)メンバー
まずは、前半のスタメンから。こんな感じでした。
- 西村君のスタメン
- 小野君のスタメン
- イッペイちゃんのシャドー
大宮はこの辺がサプライズだったでしょうか。富山選手は開幕節でも良かったので、あり得る選択だったと思います(まぁハスキッチだと思ってたけどなぶっちゃけ)。
このスタメンからどこまで読み取れるかなんですが、まずは、
- このコロナ禍で連戦が続いていくこと
- 中断開け初戦であるということ
を踏まえて、「コンディション優先」だったのかなと思いました。
今週、最もコンディションが良い選手が試合出る的な。
結局、ほとんどの選手がまるで中断期間がなかったかの様に走り切ってましたし。
戦前から、選手達のコンディションが相当良いような話はありましたが、ここまでとは思いませんでしたね。正直。
2つ目は「戦術的な意図」ですが、富山選手がスタメンでトップの位置に入った理由として
- 前から守備をしていくこと、そこからのカウンター
- ボール持った時、守備から攻撃に転じた時の収め役、つぶれ役
を期待してのことかなぁと思うんで、どちらかと言えばこの試合全体的に「守備と切り替え」に重点を置きたかったんではないかと。そんな気がしました。
という所で、さっそく試合内容に話を移しましょう。
2)攻撃と守備への切り替え
①シンプルに攻め切りたかった序盤
大宮の攻撃は開始20分くらいまでは、非常に単調・・・というか千葉の442ブロックを崩せない様に見受けられました。
ただ、違う見方をすれば、試合の入りはそこまでリスクを掛けずにシンプルに攻めていこうという意識もあったのかなと思います。
千葉は守備の時に442、大宮は325に陣形を変化させて攻撃していました。
千葉はあまり前からガシガシ来ず、2トップがボランチへのパスを入れさせないようにして、守備全体として中央に入れさせない様に守ります。
なので、大宮のボランチは2トップを中央に止めさせて、左右のCBがその脇に侵入出来るようにする(尚、ボランチが2トップ脇に入るパターンあり)。
WBは大外に張って敵のSHを広げようとする、シャドーはそのSHとDHの選手間に立つ。
理想は縦パス、ダメなら外から前進する。昨シーズンでも見られたような攻撃の手法を取ります。
シンプルに攻撃しようとすると、後ろの枚数を残しながらの攻撃になるので、ボールロストしてカウンター受けてもそんな怖くない。
出来ればこの形で決定機に至りたかったんじゃなかったかと思いますが、千葉の守備も堅かったので、上手く崩して攻撃をやり切るシーンは殆どありませんでしたが(記憶にないだけかも)。
とは言え、昨シーズンと決定的に違ったのは「縦パス」だと思います。
ここで自身の特徴を最大級に活かしたのが、ルーキーで早速使われた西村君。
昨年のPSM松本戦で「なんかヤバいのがいる」つって談議会が騒ぎ立て、大宮のスタッフさんが居酒屋に挨拶しに来た時に、早く彼と契約していくれと無駄に懇願した、あの西村君です。
高さもある、足元も上手い、若干序盤のラフプレーが気になったもののほぼ完璧なデビュー戦だったと思われます。
しかし、縦パスが入った後の所でもう少し工夫が欲しいい所でした。これで崩せない大宮は、次のフェーズに移行します。
②密です Part.1
なっかなか崩せないので、大宮は全体を多少密集させ数的優位を作りながら攻撃を仕掛けようと試みます。前節はサイドで密して崩そうとしていましたが、若干修正が入ってたと思います。
戦前、面白いことに取り組んでいるようなことをインタビューなどで触れていましたが、た・ぶ・ん、このことじゃないかなと思います。
水戸戦ではこのように密集した時に中央が空くのが気になるよねって話をしました。
で、今回どうだったかっていうとこんな感じです。
ボールを持った時、逆サイドのシャドー(画像だとイッペイ選手)がぐぅ~と中央へ寄ってきます。位置的には、CFの富山と縦関係が出来るくらい自身のポジションから移動。
密になるのは大外からはやや内側の時もあるし、右サイドではサイドに圧縮して崩そうとする動きも見れました(この時は近藤選手か、翁長選手が中央に入ってくる。入ってこない片方は、ボールと逆サイドの大外へ)。
これの最大の利点は、数的優位を作れることもそうですが、
- 選手が集まってるので、ボールをロストした際に素早く切り替えれば、再奪取可能
- 敵も寄ってくるので、空いた逆サイドを利用して一気に深い位置まで侵入する事が出来る
- 空いたサイドを利用して敵のブロックを広げて縦に侵入していくことも可能
という所にあると思います。
昨シーズン、堅い守備のチームに対して中々崩せずに勝ち点を取りこぼす試合が多く、結果それが昇格にも響きましたが、この辺に課題を克服しようとする意図が見え隠れしました。
結果的に前半30分以降は大宮がボール支配率を上回り、シュートの数もそれまで0本だったのが6本にまで増えることとなりました。
3)守備と攻撃への切り替え
①密です Part.2
さて、守備はどうだったかというと、こちらはほぼ問題なくやり遂げたんじゃないでしょうか。
大宮の守備は中盤あたりまで523、自陣に入ってくると541のような形になります。
プレスはCFがサイドに誘導しながら、シャドーは敵SBへアプローチ。サイドに追い詰めて行って、後方の迎撃も加わりながら密になってボールを回収する方法。こういった形だったと思います。
ここでポイントになるのが、ボールと逆サイドのシャドー。
ボールサイドシャドー、WB、DH、左右どっちかのCBで密を作りながら、下図で言えば、密の周辺にイッペイ選手が加わります。
密になる理由は
- 人をかけてボールを奪いきる
- 敵も人をかけてきて、仮に奪え切れなかったにしても、選手が集まっているおかげで2回、3回とタックルしにいける。結果、仮にボールを渡しても相手を前進させることは防げる可能性がある
- 相手が人をかけない(密の逆サイドを利用したい等)場合、こちらが数的優位なのでボールを奪いやすい。
- 奪えた場合、イッペイ選手のようなドリブルで運べる選手が近くにいる事で、カウンターの起点になる。
- イッペイ選手や奥抜選手等の場合、単騎でも行けるし、相手も人数をかけていれば、ボールと逆サイドは空いているので一気に前進できる。
という所にあるだろうと思います。
上図のシーンがそれを表していたと思います。
②切り替えの意識の高さ
この試合全体を通して、チームの切り替えの意識の高さは突出したものがあったと思います。
中々崩せない場合、密になって崩しに掛かるというのが2.2)②でお話した内容。その利点として奪われても再奪取可能であるという事をあげさせてもらいました。
攻撃の部分で話した内容は、表裏一体で守備の事も頭にいれているものです。
監督や選手達が自身をもって語っているくらい、切り替えの意識が高くなっている。
それをより活かすために、攻撃を設計し更に守備の事も考える。守備についても、上述2.3)①の様に、切り替えを活かせるような守備の仕方を取る。
今シーズン課題とされている「ポゼッション」ですが、攻撃と守備をセットで考えながら戦術として落とし込むことで、結果的にボールを持ちながら前半終盤の展開を優位に運ぶことが出来ました。
ここが今シーズンのベースになる部分なんじゃなかろうかと思ったり思わなかったり。
そんな感じ。
3.後半レビュー
1)後半のメンバー
後半は入りから、左シャドーに黒川選手を投入してきました。遂に背番号10がレンタルバック後初出場です。
その他の交代は以下。
(大宮)
- 45分 近藤⇄黒川
- 79分 富山⇄戸島
- 81分 イッペイ⇄石川
(千葉)
- 71分 ゲリア⇄田坂
- 〃 アラン⇄米倉
- 86分 下平⇄新井
- 〃 堀米⇄川又
大宮は選手のコンディションが非常に良かったこともあり、交代枠5名使う必要なし。千葉は2枚替え×2回、最後はパワープレーで勝ち点をもぎ取ろうとしますが、結果は失敗でした。
触れるべきはやはり黒川君でしょう。プレシーズンではちょっと心配しましたが、コンディションを完全に戻してきたようです。あの調子であれば、次節スタメンも十分ありえそう。
千葉はどっちかと言えば、最後のパワープレーの方が得点出来そうな感じもあり、最後までどう攻撃するのか見えない形となりました。
そんな訳で、後半もう少し詳しく見ていきたい所ですが、実際の所そこまで書くこともなかったので、後半は巻きでお送り致します。
2)後半の攻守
①基本守備から入る
大宮は、前半終了間際に小野選手のプロ初ゴールFKで先制出来たので、試合全体通して無理する必要がありませんでした。
そんな訳で、前半と比較して前から行かなくなり、中盤あたりでセットして構えるような守備を取ります。自陣に入ると541になって、より強固に守備を固めてきます。
ただ、構えているゾーンに入ってくればしっかりとプレスをかけて相手の前進を防ぐ。千葉の攻撃の手が余りにもアレだったのもありますが、やはり今年もセットした守備は堅いなとハッキリ分かんだねって感じだったと思います。
②安定のカウンター
そういう訳で、カウンターについても後半はショートカウンターよりロング・ミドルカウンターが多かった印象。
上図は、最終ラインでボール奪取してからすぐに攻撃に転じたシーン。黒川選手やイッペイ選手、富山選手交えたカウンター。普通に恐怖。
後ろからは肺が4つくらいある三門選手やこれまた運動量が豊富な翁長選手も迫ってくる。河面選手も。もはやホラー。
こりゃ相手からしたらたまったもんじゃないでしょう。
また、自陣深くで奪取した際に一気に前に出すんではなく、ちょっと相手を引き込んでカウンターに出る、みたいな形も持ってました。余裕すら感じる。どうしちまったんだ、うちのチームは。
③ボールを持ったらシンプルに(千葉が前がかりなので)
ポゼッションをした時も、千葉が点を取りたいだけに前がかりになってきたこともあって、密も作らずに前半序盤の形で(なので作図なし。巻きで!)敵陣深い位置まで侵入することが出来ました。
怖いくらいに西村君の縦パスが通る。確か、センターラインから一気にバイタル中央へぶち込むシーンとかあった気がします。すげぇよ。
イッペイ選手も思った以上に選手間で受けるのが上手い。これ、今後もシャドーでの起用あるというか、やだ、逆にそれしか今は考えられなくなってる・・・。
④最後まで落ちない全体の運動量
コロナ中断後からレギュレーションが変わり、選手の交代枠が5名まで(交代回数は3回まで)に変更になった今年。
なので、4人くらいは変えるかなと思っておりましたが、まぁ変えない。いつも通り、3人。それくらい、選手のコンディションも良く、確かに変える必要はないなって感じでした。
5人使う時は劣勢の時、或いはこうした運動量を求められるサッカーをしようとしているので、夏場の連戦時等で。
みたいな感じでしょうかね。まぁとにかく、そういった面では頼もしさすら感じる試合運びだったと思います。
4.まとめ
1)総括
この試合通して感じたことは、「どの局面を取ってもしっかりと設計されている」といいう点です。
(前半まとめのまとめ)
— Mexicorange a.k.a don't foget パンティッチ (@mexicorange) 2020年6月28日
・ゾーン3での精度に欠けていたんで退屈感のある前半だったが、大宮は攻守とその切り替えの局面で狙いがハッキリしてた様に、個人的には見えた。単にボールを持っていた訳ではないかなと
・前半見返す人は、イッペイ何でそこいるのって部分に注目したらオモロイかも#ardija
昨年も4局面(攻撃、攻⇒守、守備、守⇒攻)でどういう戦い方をするか、記事にまとめましたが、その時は切り替えの部分があまり書けなかった記憶があります。
そこから1年が経過したことで積み上げたものもあり、気が付けばどの局面であろうとしっかりと戦えるチームに成長しているように感じます。ここから更に成長出来るのかって考えると、ロマンティックが止まりません。
こうした渋い試合もしっかり3pt取って、結局試合通してみれば危なげなく勝利を収めることが出来ました。
試合見たあとの感想、退屈だったという意見が半数を占めていたと思いますが、俺は真っ先に
「あ、これ強いわ」
そう思いました。思って良いでしょう、好きなんだから。
2)課題
一方課題ですが、最後の局面での精度ですね。
この試合、WIN☆WINどころかWIN☆WIN☆WINくらい出来たんじゃないかなって思います。決定機が幾つかありました。
ここであと1点、欲を言えば2点取れるか。
トップの選手で言えば、当然ハスキッチ選手がいます、富山選手、戸島選手も更にコンディション上げてくるでしょう。シャドーも言わずもがな人材豊富。
リーグも再開したばかりですが、ここが上手くいかないと、これだけ良く作り上げたものがどんどんおかしな方向に行ってしまう事も考えられます。
次節は最低でも流れの中で2点。これが出来れば、良いシーズンを送れるのではないか。そんな気がします。
5.さいごに
という訳で、ようやっと再開されたリーグ戦で、個人的には大変良いものを見せてもらったなという印象です。
このレビューを見て、改めて試合を観た時に少し違う気付きがあったら幸いです。
確かに某氏が言う通り、他サポが見たら退屈な試合だったかもしれませんが、でもそんなのかんけぇねぇ。
チームが強くなっていることを確認出来れば、それでヨシ!
けど、無事リーグ戦再開されたことが一番ヨシ!
プレビューはおきくが書くそうなので、今週はのんびり過ごせそうでヨシ!
では、ご安全に!
以上