Omiya Park Life

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by 大宮戦術談議会

データによる2019シーズン総括 導入編

河面を皮切りに続々と来シーズンの主戦力になるであろう選手たちの契約更新が伝えられる中、

私Zdenkoは

アメニモマケズ

カゼニモマケズ

トカイノマンインデンシャニモマケヌガネコゼデハアルカラダヲモチ

ヨクダラケ

サケマミレ

イツモスマホヲモッテポチポチトデータヲウチコンデイル

 

という感じで通勤時間を使って2019年シーズンの大宮アルディージャ得失点(得点62、失点40+プレーオフ2失点)104点を集計・分類していました。

 

この得失点分析とFootball LABのデータを使って今シーズン、特に攻撃の部分を概観したいと思いますが、文量が多いので、

Football LABのデータによる分析を導入編(本記事)とし、得失点分析のデータによる分析を本編とします。

 
Football LABのデータと後述する私の得失点分析によるデータの違いですが、前者が全てのプレーを集計しているのに対し、後者はゴールを中心にそれに関連したプレー等を集計しています。
 
つまり、
Football LABのデータでは
『どういったサッカーを展開していたかを網羅的に知ること』に焦点が当てられており、
得失点分析では
『どのように得点あるいは失点をしているのか』に焦点が当てられています。

Football LABのデータから見る2019シーズン

さて、上述のとおりまずはFootball LABより引用したデータを元に今シーズンどんなサッカーが展開されたかを概観してみましょう。
なお、このデータではどのような守備をしていたかを把握することは難しいため、攻撃を対象に分析をします。
 

(1)攻撃の傾向

 
 
チームスタイルの数値はそのチームがリーグ内においてどの種類の攻撃をどれだけ実行したかを指数(J2内での偏差値)で表したデータ。
 
なので、高ければいいという訳ではなく、
そういった攻撃を他チームと比べてどれだけ試行したのかを示す数字です。
 
これをみると、
中央攻撃、ショートカウンター、攻撃セットプレーの指数が高く、
両サイドからの攻撃が少ないです。
また、ポゼッションに関する指数は低く、特に敵陣ポゼッション(遅攻)は43と著しく低くなっています。
 
 
 
チャンスビルディングを見ると攻撃回数が13位にも関わらず、シュート、チャンス構築率、ゴールが軒並み高い順位となっています。
効率よくチャンスを生み出していることが伺えます。
 
 
 
続いてチームデータを見てみると、パスの順位が低いです。
チームデータのポゼッションの指数が低いことと合わせて考えると、速攻をしていたことが伺えます。
 
 
以上のデータから言えることとしては、以下の2点
①セットプレー、中央攻撃、ショートカウンターによる攻撃が多い
②攻撃回数は少ないものの、速攻により高い割合でチャンスを作っている

 

 

(2)今シーズンの攻撃の特徴と課題

次に、今シーズンの特徴であったショートカウンターと、課題であった遅攻について詳しく見ていきましょう。
 
 
 
上図を見ると、ゴール率、シュート率がともに1位。
単に狙いとして実行していたわけでなく、きちんと得点につながっていたわけです。
 
 
ショートカウンターでは主にドリブルを使用しており、
コンビネーションは少ないです。
他チームに比べ、よりダイレクトにゴールを目指しているということでしょう。
 
 
 
上図は本編にて扱う得失点分析によるデータです。
ショートカウンターとロングカウンターを分けているわけではありませんが、
トランジション(カウンター)の崩しの手法としてはドリブルが最も多く、
崩しに関わったプレーヤーもイッペイ、奥抜、バブンスキーとドリブルが上手い選手が並んでいます。
 
特に奥抜は崩しでも、スコアラーとしても上位であり、
大宮のショートカウンターの中心になっていた選手と言えます。
 
奥抜のドリブル突破からのゴール
 
 
 
次に遅攻(敵陣ポゼッション)について見ていきましょう。
 
この定義ですが、『敵陣で20秒以上ボールを保持しての攻撃』ということのようですが、ご覧の通りゴール率も低ければ、シュート率に至っては下から2番目です。
 
 
 
主な手段はロングボールやクロスを入れての空中戦。コンビネーションは少なめ。
 
 
 
ゴールがわずかに2つで寂しいです。
合っているかわかりませんが、それと思わしきゴールが以下のふたつ
 
河面の鬼ミドル
 
茨田の無慈悲ボレー
 
いずれも、クロスのこぼれ球をゴラッソで押し込んだゴール。
 
つまり、
シーズン中も課題として挙げられていた、引かれた時の攻撃をどうするかについての答えはついぞ出せなかったわけです。
 
遅攻は試行が著しく少ないと上述のデータでもありましたし、明確に速攻を志向していたとはいえ、リーグ内で強者である(つまり相手が守備に重点を置くことが多い)大宮が
『引かれると点が入らない』という課題を持っていたことは自動昇格圏に入れなかったことへ大きな影響を与えたと思います。
 
導入編まとめ
①セットプレー、中央攻撃、ショートカウンターによる攻撃が多い
②攻撃回数は少ないものの、速攻により高い割合でチャンスを作っている
ショートカウンターはリーグでも屈指のクオリティ
④引かれたときの攻撃は大きな課題だった

 

本編へ続く

背番号「3」の新たな道のり - 河本裕之選手は何を残し、誰が受け継ぐのか

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グイグイ前に出てこようとはせず、

静かに後ろからみんなを見守っている。

自分を必要以上に勇ましく見せようとしない。

 

そんなイメージがありながらも、

ピッチ上では誰よりも男らしい。

 

河本選手のそういうところに僕は、

ひいては僕と同じかそれ以上に応援している皆さんもまた、

惹かれているのではないでしょうか。



そんな、一番に推している選手だからこそ、

今回の契約更新は他のどの選手よりもうれしかったです。

 

www.ardija.co.jp

 

ですが、

色んな不安が先を見据えた時に生まれているのもまた事実です。



1つは、河本選手の盟友である

菊地選手の退団。

 

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河本選手と同じぐらい菊地選手も好き。

逆もまた然り。

どちらかに思いを馳せる時は二人セット。

そんな方も多いのではないでしょうか。

 

そして、

『どちらも最後までアルディージャでプレーしてほしい』

そうも願っていたのではないでしょうか。



しかし、菊地選手は

アルディージャと道を分かつこととなりました。

 

フロントを批判したいわけではありません。

 

アルディージャが多くの方々からご支援いただき、

それに伴った結果を示さなければいけないプロクラブとして在る以上、

「心情的には理解しているし、そうしたい」と思っていたとしても、

そうせざるをえない決断というものがあると改めて思い知った、という意味です。



そして金澤選手が引退を表明した時、



「サポーター歴=慎さんのプロ選手歴なんですよ、俺。」



ちくきくんが呟いたこの言葉を目に、耳にした時、

僕は不意に怖くなってしまいました。



『望もうが望むまいが、

大宮アルディージャの3番が河本裕之ではない日がいつかくる』

 

そう強く実感させられてしまったからです。



サポーターとは、

1人の選手を柱に自分のサポーター史を積み上げていく者です。



omiyadangikai.hatenablog.com

人によってはこんな風に、10年以上もの長い歴史を積み上げられるように

 

 

噂されているパンティッチ選手もそうですが、

これまでに獲得・トップ昇格させてきた最終ラインの選手の

ほとんど全員が、後方からのつなぎに特長をもった選手でした。


それは当然、河本選手にも同じ能力が求められているということでもあります。

 

現存戦力の中では河本選手が最も、

足元の技術とDFとしての資質を兼ね備えた選手であるということに

僕は疑いを持っていません。

 

この縦パスは狙いどころもそうでしたが、パスを出した姿勢までもが美しかった 

 

しかし、身体的な衰えは徐々にやってきます。

今はまだ経験と技術でカバーしてくれるでしょうが、

いつかは抑えが効かなくなってしまうのでしょう。

 

そうなった時に、

「大宮で引退したい」

と明言するほどの決意を持って来てくれた河本選手でも、

アルディージャを去らなくてはならないのでしょうか。

 

河本選手がいなくなってしまったNACK5スタジアムが、

サポーター元年=背番号3が河本選手であった時代からの僕には想像できません。

 

 

しかし、一度進んだ時の流れも、

その結果至った事実も変えられるはずはありません。

 

シオさんや金澤選手、清水慶記選手。

そして’キク’。

 

ベテランが去り、

チーム最年長として残った河本選手は明確に、

後輩に何かを残す立場となりました。

 

そして同時に契約更新を発表してくれた山越選手。

 

加入からこれまでのプレーは、

本人や周囲が期待していたとおりではないかもしれません。

しかし彼は、たくさんの悔しい思いをここまでしてきたでしょうし、

何よりも、’純粋なCB’の系譜にいる選手だからこそ、

今後河本選手が残してくれるもの、

そしてキクが残してくれたものを継いでいくべき存在だと思っています。

 

この試合で魅せてくれた身体を投げ出してのシュートブロックとその後の雄叫びに、よりキクの系譜を感じました
 

そういった何かの終わりと始まり、

引き継ぎに向けてのストーリーを、

来季からの僕らもまた、共有していかなくてはならないでしょう。

 

これまでなんとなく、

というか『チーム全体を等しく応援する存在であるべきだ』

という考えから今までのユニフォームすべてを12番にしていた僕ですが、

もしかすれば来季からは、

そのストーリーにより近く・深く寄り添っていきたいという願いから、

変わっているかもしれません。

 

 

 

 

1 + 2 = 

金澤慎の思ひ出

どうも、ぱっちです。

2019年12月5日、アルディージャの歴史が一つ幕を閉じました。

ユース一期生にして、トップ昇格第一号である金澤慎の引退発表です。

 

慎が入団した2002年当時のアルディージャといえば、悪く言えば他チームで出場機会がない選手の寄せ集めでした。(川島永嗣島田裕介ら高卒の選手はいましたが)

そこにユースからの昇格として慎と木村聡が入団してきました。この時は『ユースから昇格してくるんだぁ』と思った程度でした。

ですが、開幕戦のサガン鳥栖戦でスタメン出場。『え、新人スタメンで使うの?新しい外人監督、大胆だなぁ』と思った記憶が。

この年は28試合出場し、1得点とルーキーとしては上々のスタートを切りました。

翌年はわずか7試合出場でしたが、2004年に三浦俊也監督が就任すると開幕からスタメンを守り41試合に出場し、J1昇格へ貢献しました。

この年の最終戦、出場停止で選手サイン会に出ていた慎にサインを貰ったのが初めてプロ選手から貰ったサインでした。

※今みたいに抽選でなく、列に並べば誰でもサインを貰えました(笑)

この頃の慎は豊富な運動量を活かして、前線にバンバン飛び出していくタイプのボランチでした。

 

J1初年度、背番号も『23』から『7』へと変更となり開幕スタメンを飾るものの、J1の壁にぶつかり徐々に出場機会を失いました。

2006年、ヴェルディへレンタル移籍。当時ヴェルディの監督だったラモスが『最近の若手はおとなし過ぎる。俺に意見を聞きにくるのは金澤くらい』とコメントしていたのみて、『あぁ、慎頑張ってるんだなぁ』と思ったのを覚えています。

ヴェルディで2年過ごして復帰するも、中々スタメンで出場出来ませんでしたが中盤の守備固めとして途中出場していきます。

ただこの年、どの試合だったかは覚えていないのですが、主税らと細かいパスワークでPA内に侵入した時に『緑の遺伝子…』と呟いたのを覚えています。

 

2009年は開幕からレギュラーとして活躍し、翌年では橋本早十とコンビを組んだことで、現在のイメージに近い守備に強いボランチになって行きます。

2011年は上田康太の加入で出場機会が減りますが、終盤には青木とのコンビが始まります。

2012年の途中からベルデニック監督が就任すると青木とのコンビが確立され、無敗記録を更新します。

この辺りから開幕当初はスタメンではないが、チームが上手く行かなくなると慎がスタメン起用されチーム状況が好転する、所謂『困った時の金澤慎』が定着します。

『この試合!』と言うのは覚えていないのですが、危ないシーンになると慎が体を投げ出してピンチを防いだのを皆さんも覚えているかと思います。

(確か、2012年か2013年のサッカーダイジェストのタックル成功率ランキングでかなり上位にいたはずです)

 

慎のゴール数は通算で16点(カップ戦含む)ですが、印象的なゴールが多い気がします。もっともインパクトがあったのは2013年のセレッソ戦(A)ではないでしょうか?

試合開始早々にセンターサークル付近から放った超ロングシュート。アルディージャファンのオイラですら、唖然としたゴールでした。

でも、オイラがもっとも記憶に残っているのは2012年ホーム最終戦ジュビロ戦での先制ゴールです。PA左角から右足一閃弧を描いたボールがゴールに吸い込まれました。

『うわ、慎が決めた!』と周囲の方とハイタッチしたものです。

 

 慎のオイラ的ハイライトはやっぱり2017年のさいたまダービーです。

開幕から8試合勝ちなしで迎えたホームでのさいたまダービー。キャプテンのキクが不在だったため、副キャプテンの誰かがキャプテンをやるんだろうなぁと思っていたら、まさかの慎がキャプテンマークを巻いて先頭で入場してくるではありませんか。

 アカデミー出身第一号の慎がさいたまダービーでキャプテンマークを巻いているというだけでこみ上げてくるものがありました。

そして試合では興梠を徹底マークし、見事1-0での勝利に貢献。最高の瞬間でした。

 

2017年11月18日のアウェーでのベガルタ戦を最後に試合出場がなく、オイラも薄々感じてはいましたが、実際に発表されると寂しさが溢れてきました。

今季のコンセプトとして『アルディージャのために闘うことが出来る選手』がありました。これに最もフィットするのは慎だったはずです。2年間武者修行に出たものの、アカデミー出身のパイオニアとしてその背中を後輩に見せ続けてきました。

先日のサンクスパーティーで直接『お疲れ様でした』と伝えることが出来ました。

そこで『来年以降23のユニ買えないね』と伝えると『誰かが着けるんじゃないですか?』と本人は言っていましたが、かつて『15』がしばらく空き番号となっていたように、『23』はしばらく空席となると考えています。クラブが『将来のアルディージャを託したい』と思うアカデミー出身の選手が出てきたときに初めて背負うことになると思います。

 

今季、昇格を決めて引退の花道を飾ってあげられれば最高だったのですが、それは叶わいませんでした。

再来年クラブ創設から『23』年目を迎えます。『23』年目にあるべき場所に戻れるよう応援していきましょう!

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