大宮アルディージャドラフト会議 - ヨシまるサイド編
当初の構想
ざっくりとしたチームコンセプト
- 河本は獲る
- 最終ラインから中盤までのボールの受け渡しには不安のないチームにしたい
- 河本は獲る
- 3ラインにそれぞれ、戦術理解度が高く、ポリバレントな選手を置く
- 河本は獲る
-
右はじっくり作って、左は個人の強さを生かす攻めを標ぼう
- 河本は獲る
-裏話-
2013年以前の選手情報に明るくなかったため、
この布陣はPowered by ぱっちさん
アンドProduced by Zdenko教授。
なお、遅い時間に相談した&睡魔MAXだった教授からいただいたアドバイスは
「あー」「へー」「そんなかんじなんすか?」
など、ありがたいものばかりでした。
いや、ホント無理に付き合わせてすんませんでした。
最終チーム
監督・選手指名
監督指名
今だから告白してしまうと、
監督も指名しなきゃいけないルールなのをド忘れしてました。
で、慌てて渋谷さんを指名したものの、当然のごとくかぶりまくり。
さらに抽選に敗れ、しかも伊藤彰さんとベルデニック氏が既に獲得されていたため、
この時点で
「もう誰でもいいや」発動。
というか、
「誰か空気読んで大熊さん指名だろ」
というプレッシャーを開始当初からひしひし感じていたため、
それに負けた格好です。
注:実際には彰さんも指名できたわけですが、
当日ヨシまるはストロングゼロを飲りながらの参加であったため、完全に勘違いをしておりました。
飲み過ぎ、ダメ絶対。
第1巡目 - CB狙い
え、このドラフトって
河本選手獲得した人が最終的に勝ちってルールなんでしょ?
なら他にやることある?
真面目に補足しますと、
当初のコンセプトを土台から実現するために
- ビルドアップに不安がない
- 対人に強い
- セットプレーに強い
の条件を満たす実績のあるCBは、
どこよりも確実に補強しておきたかったという意図があり、第一候補としていました。
結果として無事河本選手を獲得できましたが、
万が一かぶって獲得失敗した場合は、
の順でリストアップしていました。
第2巡目 - GK狙い
最終ラインのビルドアップを重視していたため、
劇場型や守護神タイプよりも技巧型をチョイス。
能力的には加藤順大選手がピカイチでしたが、
さいたまダービーに勝利したことがない
というジンクスを不安視。
そこが決め手となり、次点で技術を評価していた加藤有輝選手を指名としました。
以降の指名候補順は
実はヨシまる、謙弥さんは結構評価高め。
悪いところがないというのは充分な強み。
え、FKに弱い?
そんな試合あったかなぁ?
第3巡目 - 迷ったもののボランチ狙い
ここで初めて、どのポジションを指名するか迷う。
後ろから順に軸になる選手を獲れればベストと思っていたものの、
得点力のあるストライカー
がこの時点で次々と獲得されていたため、
そろそろ石原選手を獲得するべきか?
で悩んでいました。
が、、、
大山選手がいればどの戦術が採用されても形を作れる
という点をもっとも魅力的に感じたため、指名。
無事に獲得できたものの、
FWの大本命石原選手と、爆発力のあるマテウス選手、泉澤選手を同巡で獲得されてしまうこととなりました。
第4巡目 - FW獲り以外に選択肢なし
大山選手と同様の特長・理由から、
渡邉大剛選手は何としても獲得したいところ。
ただし、他メンバーよりも最前線の強化が明らかに遅れていたため、
これ以上FW獲得はステイできないと判断。
幸いにもポスト・裏抜けのどちらもこなせるズラタン選手にまだ指名が入っていなかったため、
ここですり抜けるように獲得。
同巡で大剛選手を獲られたのは覚悟ができていたものの、
河本選手の相方として最有力視していたマト選手を指名されたのは痛かったです。
第5巡目 - バンビーノ
失礼に聞こえてしまうかもしれませんが、
両SBは必ず獲得できる自信があった
(&自分の構想にどちらも最もフィットしていた)
プラス、この巡では2番目に指名できることもあったため、
ここで強力なアタッカーを獲得に走ろうと判断。
攻撃力だけでなく守備勘の良さもある
バンビーノこと奥抜選手が残っていたのはまさに僥倖。迷わず指名。
今思い返すと、
ここが自分的にはいちばん、してやったり感がありました。
第6巡目 - アイデンティティ維持に走る
大剛選手で埋められなかった右SHは未だに空いているものの、
今回の企画にあたって在籍選手を振り返ってみたところ、
アルディージャは伝統的にサイドにタレントが多い
という印象を受けていたたため、
同ポジションはまだ引っ張れると判断。
左右いずれかのSB獲得に動きました。
で、どちらを先に獲るかと思慮した結果、
河本選手を応援している人は菊地選手も好き
菊地選手が好きなら泰史くんのことも絶対に忘れない
つまり、三人は実質セットである
という鉄の掟、自身のアイデンティティに従い泰史くんを獲得。
やったぜ。
今思えば、
直接決められるプレースキッカーの獲得を忘れていたので
偶然ながらこの時点で確保できたのは非常にラッキー。
第7巡目 - まだ天才がいたじゃないか
泰史くんが獲得できたため、
このあたりで右サイドの相方を決定付けたいと判断。
戦術理解度の高さはもちろんのこと、
戦況を読むことと他選手の扱いの上手い選手が欲しいところでしたが、
逆ウェーバーであったため、ちくきさんに横谷選手を指名されてしまう。
もはや、考えている猶予はありませんでした。
ここで茨田選手をコール。
俺氏、さいたまダービーでの必勝をこの時点で確信
第8巡目 - 激震、走る
茨田選手の獲得で強力な中盤を形成できたとウッキウキになっていた僕ですが、
ここで大きな見落としをしていたことに気づきます。
河本選手の相方が決まっていない
&リストアップしていたCBを全員獲得されていたのです
クッソ焦るものの、
なぜかこの巡に限ってみんな指名が早い。
いじめかよ。
いい感じの流れを断ち切りたくないことと、
サイドの組み合わせは理想通りにいきたい。
そんな思惑が優先して働き、岡本隆吾選手を獲得。
岡本選手を獲得した理由ですか?
ぱっちさんが
「良い選手だよ」
って言ってたから間違いないでしょ
第9巡目 - しかし、ヨシまるに電流走る-ー!
急場はしのいだものの、逆ウェーバーのため指名はすぐにくる。
一瞬の待ったをかけるものの、頭が回らない。
ストロングゼロをがぶ飲みして臨んだのは最大の失敗であった。。。
が、ピンチの中にチャンスあり。
いるじゃん、河本選手と組んだ実績のあるCBが。
高 山 和 真
足元上手い。
WBもできるほど走力ある。
しかも左利き。
あれ?ベストチョイスじゃね?
第10巡目 - あえて崩した予定調和
高山選手の獲得を以って、
左の方向性は確立したと確信。
大山選手の相方である
『ボール奪取力に優れたボランチ』の獲得に向かいました。
やはり例のごとく、
ぱっちさんのお墨付きをもらった
大塚真司選手を予定通り獲得しようと思ったものの、
コールを送信しようとする指先が寸前で止まる。
「リスクヘッジに徹しただけのチームに感動はあるのか?」
リトルヨシまるが問いかけてきました。
そしてこれまでに獲得した選手を頭の中で動かした時、
大山選手に背中を見守られながら、
その横をミサイルのように飛び出して攻め込む選手の影がぼんやりと……
石 川 俊 輝
気がつけば、その名前をコールしていました。
後ろでボール取るの待ってられっかよ。
むしろゴール取りにいきゃいいんだよの精神。
※ギリギリまで「カウエ」って言おうとしてたのは内緒
第11巡目 - 空いてんじゃん
ついに最終巡。
残るはズラタンの相方です。
1人獲得するとそのポジションを放置してしまう、
すでに容量限界寸前のヨシまるCPU 。
そんなアリ未満サイズの脳みそにふとよぎったのは、
「そもそもズラタンって裏抜けとポストどっちが本職なんだ?」
という疑問。
石原選手の代役として獲得していたため裏抜けとしての役割しか考慮しておらず、
ポストプレー得意そう&しゃべりが面白いという理由から
相方はほぼ戸島章選手に決めていたのですが、、、
余談
外国籍選手枠が空いている&オシャレなポストプレーが気に入っていたので
ハスキッチ選手も考えていましたが、
ハードコンタクト大丈夫な印象が薄かったため、獲得を見送っていました
あれ、トミーまだ空いてんじゃん
はい、ゲットゴール。
以上。
最終チームを振り返って
まず全体をパッと見て思ったのは
ズラタン・茨田・大山デルタゾーンの意思疎通は問題なさそう。
そこに泰史くんを上げるかどうかの判断は、
茨田選手がうまくコミュニケートしてくれるんじゃないかと期待しています。
懸念があるとすれば、左から攻めるパターン。
- 富山・奥抜・石川選手で役割が整頓できるか(全員攻め上がりたがりになって渋滞しないか)
- デルタゾーンを突破された際、Bのエリアを埋める役割をきちんと後ろの選手で分担できるか
ここを特に気にしています
また、右サイドの守備に関しては、
セットした状態であればズラタン選手のハードワークと茨田選手のボディーコンタクトで押し返せると期待はしていますが、
(ヨシまるは茨田選手の守備力を結構評価しております)
仮にセットした状態でそこを突破された場合に、若干の不安が残ります。
※大山選手はパスコースを読んでの回収は抜群であるものの、
フィジカルコンタクトに強い選手に脇で受けられた場合は
河本選手のヘルプも含めた守備が必要となるため、
そこでシンプルな、少ないタッチで裏抜けの選手に渡されるようなことがあったらちょっと怖い
その他感想 - やっぱり組織のチームなんだろうな
最終的にはそうなりましたが、
会のエンターテイメント性を考慮して
できるだけ4-4-2(4-4-1-1)のフォーメーションでは作りたくなかった
というのが本音です。
ですが4-4-2で長くやってきたチームの歴史もあるため、
どうしてもその配置に組み込んであげたほうが
活躍するイメージの湧く選手が多く、自然とそうなってしまったというのが実情です。
また、古今の選手や当時の編成を振り返って抱いたのは、
“それぞれの短所をお互いの長所で補う”
というチームコンセプトが脈々と受け継がれてきているのかなぁ、という印象です。
家長選手やラファエル選手のような
個人で圧倒的な違いを見せつけられる選手がよく話題に上がるアルディージャですが、
FWやボランチ、CBのように同じポジションに2人が並ぶ箇所だけでなく、
SHとSBのような別ポジションの組み合わせ(ユニット)も、
上記のようなコンセプトで組まれている時のほうが良い結果を出せていたように思えます
※わかりやすい例を挙げるとすれば、
突破力のある泉澤選手&リスク管理に優れていた和田拓也選手のユニットのような
そしてその補完関係は、ユニット間でもそうであったように思えます。
たとえば2016年終盤の編成。
サイドのユニット(泉澤&和田)だけでは圧力が足りない場合は
ボランチのユニットから枚数を出しつつ(横谷選手)、
逆サイドには絶対展開させないように残ったボランチ(大山選手)がスペースを見張っている。
そういった関係です。
さらに言うと、
「こっちのユニットがそうなっちゃうと、上手い具合にフォローできる選手が欲しいなー」
と思った際、
優先的に思い浮かぶのは育成組織出身の選手であった
というのも面白かったなぁ、と。
終わった今ではそう思い起こされます。
最後に
僕らサポーターの奥底にある理想や願望を取り出そうとすると、
そこには組織力に長けた育成出身の選手がいる。
そこにはチームからのメッセージが込められているし、
知らず知らずのうちに僕らもそれを受け取っているような印象さえありました。
これまではいきあたりばったりの補強で残留をもぎとってきたと
他クラブに思われがちなアルディージャでしたが、
そこからの脱却・転換は思いもよらぬところにヒントは隠されているのかもしれませんね。
とにかく、やってみてよかった。
楽しかった。
ねる。
おわり
【レビュー】2020年J2リーグ第1節 水戸ホーリーホックvs大宮アルディージャ
スタメンはこちら。
大宮はナシオナル戦と同様のメンバー。
水戸はCBに岸田が抜擢されたのは意外だったが、概ね今季の主力となるような選手が並んだ。
※菊"地"選手を菊池選手と書いてました。申し訳ありませんでした。
水戸の守備
水戸は多くの時間帯で532の形で大宮の攻撃に対応した。
積極的に大宮の最終ライン(3CB)にプレスをかけるというよりも、左右のCBである山越や河面にボールが渡ると彼らの前に立って中央のパスコースを消すような動きをしていた。
基本的には右IHの村田が一列上がって全体がスライドする形で523(山越⇔奥田/河本⇔深堀/河面⇔村田)に変化することが多かったが、場合によっては左IHの安東(後半は山田)が一列上がることもあった。これは532を採用するチームではよく見られる形である。
中央のパスコースを消すことでサイドのWBやシャドー(SH)に対してパスを供給させ、そのタイミングで全体が左右にスライドしてボール奪取を狙っていた。
大宮の攻撃
相手の背後を狙いたい右サイド
大宮の右サイドは近藤が相手のボランチの脇のスペースへ降りる動きを行うことが多かった。それをトリガーにして近藤がいたエリアにハスキッチが移ってくる。
ナシオナル戦でもこのポジション移動は頻繁に見られた恐らく今シーズン右サイドではこのような攻撃を志向していくのだと思う。
裏への抜け出しが上手いハスキッチ&イッペイの存在や、ターンが上手く中盤でもプレーできる選手の存在(黒川・近藤・嶋田)、スピードには難があるがキックの質が良いCB(山越・畑尾・西村)の組み合わせを考慮しての形なのだと想像できる。
ビルドアップでは相手DFの背後をシンプルに狙うことが最も優先度が高い。
一発で相手のDFの背後に侵入出来てしまえば容易に大チャンスに繋がるからだ。
相手DFの背後にスペースがない場合にその手前のエリア(MF-DFの間のエリア)を狙い、そこにもスペースがない場合にMFを釣り出してMF-DF間のエリアを空けるために横パスなどを選択していくのだ。
大宮の右サイドは近藤やハスキッチの降りる動きにつられた乾の背後に向けて山越が中長距離のパスを供給し、そこに対してハスキッチやイッペイが走りこむ形がこの試合では多く見られた。
基本的には降りる動きで相手をつり出し、周囲の選手が釣り出した相手選手の背後を狙う形が多く見られた。
先制点のオウンゴールに繋がったハスキッチの突破もやはりこの形によるものであった。
※相手DFの背後が空いていないからMF-DF間の選手を使う⇒相手のDFが釣り出されて背後が空く⇒空いた相手DFの背後へハスキッチが走りこむ。
※やってること自体は昨年前半戦の茨田-奥井による攻略と似ている。
近藤が降りるエリアを埋めるために、IHの選手が前に出て大宮のCB対応せずに532のままステイする時間帯もあった。
このような状況では、山越はCFの脇にポジショニングすることでパスを受けただけで相手CFを超えられる状況(2CB+右SB風味)を作っていた。
ちなみに3CBのままでビルドアップを行うと左右のCBがボールを受け取って、自分で前へボールを持ち運ぶことになるが、たいてい相手のスライドが間に合ってしまう。
最初から少し高い位置にポジショニングすることで時短に繋がるのだ。
2CB+右SB風味の形では左SBに誰もいない状況となる。
河面が困ると三門や翁長が空いている左SBの位置に降りてサポートすることになっていたが、これも左サイド攻略の布石となっていた。
翁長が降りると右WBの前嶋は選択を迫られることになる。
翁長についていかなければフリーでボールを受けられてしまい、せっかく作り出した河面が困っている状況を無駄にしてしまう。ただし、翁長についていけば背後にスペースを与えることになる。
前嶋は翁長についていくことを選択したケースが多かったように思えた。すると翁長はワンタッチでハスキッチにめがけてボールを供給し、そのこぼれ球を三門と菊池が狙っていた。
サイドに密集を作り出して攻略したい左サイド
右サイドはシンプルな形での攻撃を行うことが多かったが、左サイドには人数を多くかけて密集を作り出して攻撃を行っていた。
サッカー用語のオーバーロードが近い表現なのかもしれない。
サイドに密集を作り出せれば、細かいパス回しが可能となる(高い精度のプレーが要求される)。
細かいパス回しをしていれば相手のマークもズレるし、マンツーマン気味になるとポジションチェンジを利用することでどこかしらに穴が空いてくる。
そしてボールを失った後に素早くボールの再奪回を狙うことが出来る。何故ならば相手からすればボールを奪ったのは良いもののポジションはバラバラでスペースがないという状況だからだ。一方、大宮側からすれば味方が沢山いるのだから相手にプレッシャーをかけやすい。
左サイドにはボールを扱うのが上手い選手が非常に多い。左CBには河面とマクシメンコの2人がおり、WBには翁長がいる。菊池は本職が中盤の選手であり、控えている高田や奥抜もターンが非常にうまく狭いエリアでもプレーを出来る選手だ。
また、左サイドに人数をかけることで相手チームの選手も左サイドに寄ってくる。すると右サイドではイッペイの大好物であるスペースが広大に生まれることになる。大宮のストロングポイントであるイッペイのドリブルが活きてくる訳だ。
この辺りを踏まえるとやはり左サイドの攻撃も選手の特徴を踏まえて設計されていると言えるだろう。
高い精度のプレーが要求される左サイドでの攻略は途中でカットされることが多かった(突破するシーンもあった)がどのような攻撃をしたいのかという狙いは明確に見られた。
しかしながら、ポジションバランスとして気になる要素も見られた。
小島と三門が大きく左サイドに移動するために中央のスペースが空いてしまうことである。このスペースは相手のカウンターの起点となる可能性がある。
また、逆サイドでアイソレーション(孤立)しているイッペイに対してボールを届ける手立てがない。ではどうすればいいのだろう?
解決案としては右シャドー(SH)の近藤が一時的に1列降りることだろう。
彼が中盤の高さまで降りてくることで相手のカウンターの起点となるエリアに人を置くことが可能となり、更に左右の中継役となることが出来る。
中継役となった後は素早くイッペイのサポートに走ることも要求される。
運動量が要求されるが頑張ってください近藤選手。
右サイドのシャドーに要求される仕事は今年も多いのかもしれない。
水戸の攻撃⇔大宮の守備
大宮は523の形で水戸の攻撃に対応した。
基本的な考え方は水戸の守備と同じで、相手のCBに積極的にプレッシャーをかけるというよりも相手のCBの前に立って中央へのパスコースを閉じてサイドに誘導するのが狙いだ。
しかしここで問題となるのが大宮の5角形(ハスキッチ&近藤&菊池&小島&三門)の中央に立つアンカーの山田選手だ。彼にボールが供給されると中央・左・右のどこにでも展開されてしまう。どちらかのサイドに相手を誘導できない状況は非常に危険だ。
従って誰かが山田選手を抑える必要が出てくる。大宮はハスキッチが山田選手にマンツーマン気味につくことで山田選手を消していた。
そうすると何が起きてくるかというと、水戸の3CBが自由になってくる。
3CBに対面するのは両シャドー(SH)の菊池と近藤の2人だけだ。
従って水戸の3CBは比較的に自由にボールを持つことが出来た。
水戸の3CBは自由にボールを持つことが出来るので、近藤と菊池が左右のCBに釣られるタイミングを狙ってボールをWBに渡していた。
水戸のWBには大宮のWBが対応する。水戸は出てきたWBの背中を狙い撃ちしていた。
水戸はWBからシンプルに大宮のCBの脇(WBの背後)にボールを供給したり、一度IHの選手に当ててから同様のエリアへとボールを供給していた。
CBの脇のエリアを狙うのは右では主にIHの村田選手、左では奥田選手が多かった印象がある。
後半になると大宮の両シャドー(SH)が水戸のWBを気にするようになる。
するとハスキッチと両シャドー(SH)の間が空くのでCBから直接両IHの選手へ縦パスを供給するシーンが見られた。水戸のIHvs大宮のDHの対決を有利にするためにも前半は安東選手がIHの立ち位置を取っていたが、後半からはターンの上手い山田選手がIHの立ち位置を取ったのだと思う。
ボールが大宮陣地の深くまで到達すると左右どちらか一方のCBが高い位置をとるようになり、SBのような仕事をしていた。もしかしたらそのための岸田と乾のCB起用だったのかもしれない。
富山と奥抜投入の意図
前半、大宮はカウンターから多くのシュートを水戸に放たれていたが、ビルドアップ(遅攻)でのミスによるものではなくカウンターを狙った際のパスが水戸に回収去られて再逆襲されていることが非常に多かった。
つまり、ボールをもって攻撃する(遅攻)という部分に問題があったのではなくカウンター(ポジティブトランジション:速攻)に問題を抱えていた。
ハーフタイムで奥抜を投入したのはカウンターへの移行の際に素早くCFのハスキッチ(富山)へのフォローを行うことや自力でボールを運ぶことを求めていたのだと思う。
事実、決勝点となった富山のゴールは奥抜が起点となったカウンターから生まれている。
富山に関してもやはりカウンター以降の際にターゲットとなり時間を作る動きを求めれれていたこともあると思うが、守備のてこ入れの面もあったと思われる。
ハスキッチが出場していた時間はアンカー役の選手を消していくことが求められていた一方で、相手の3CBにプレッシャーがかからずにいた。
富山はプレッシングのコース取りが非常に上手な選手であり、かつ”二度追い”が出来る選手である。二度追いとは1人の選手が複数の選手へとプレッシングを行うことだ。
富山はアンカー役の選手(図では山田選手)へのパスコースを消しながら水戸の中央のCBへとプレッシングを行っていた。そこから更に左右のCBへとプレッシングを続けていた。すると水戸の3CBはボールを扱う時間が途端に短くなる=プレーの選択肢が少なくなる。
この動きによって大宮は昨シーズンのような前線からの守備を成立させている時間帯があった。
さいごに
開幕戦を無事勝利で終えることが出来て本当に良かった。
筆者としては期待と一抹の不満を抱えながら2節の徳島戦に臨む予定だったが、新型コロナウイルスの影響で2節~4節の試合が順延となってしまった。
この試合を細かく見ていくと、この試合は今年の大宮がどのようなことをしたいのかよくわかる試合だった。
水戸戦のDAZNの視聴期限が延長となっていたので、このレビューを読んだ後に再び水戸戦をチェックしてもらうと大宮のサッカーの狙いと抱えている問題点の理解が進むかもしれない。
【プレビュー】2020年J2リーグ第1節 水戸ホーリーホックvs大宮アルディージャ
2020年シーズンのJ2がついに開幕する。
大宮アルディージャは開幕戦をアウェイの地で水戸ホーリーホックと対戦する。
水戸の冬の市場での動きはフォアリュッケンさんの以下のブログを確認していただきたい。
編成も大きく変わり、監督も交代した水戸だがキャンプでのTMではJチーム相手に好成績(vs大宮〇4-1・vs鳥栖△1-1・vs仙台〇2-0・vs鹿島●0-1・sv福島〇5-3)をおさめているだけに、厳しい戦いになることが予想できる。
また、小島と黒川は古巣対戦となる。恩返しゴールに期待したい。
予想スタメン
開幕戦であり、メンバー選考の基準が不明である。
水戸の予想スタメンについては水戸サポーターの方にしていただき、大宮の予想スタメンについてはPSMのメンバーを参考にした。
水戸ホーリーホック(HOME)
昨シーズンから引き続いて442を採用している模様。
選手は大きく変わったためスタメンの構成が全く読めないが、FW村田・SH木村・GK松井が起用される可能性が非常に高い。
FW村田は昨シーズンの対戦でも出場しており、オフザボールの動き(ボールを持っていないときの動き)でチャンスを創出する能力が非常に高く注意が必要となりそう。
また、SH松崎は大宮ユース出身でドリブルが長所の選手。非常に高いモチベーションで挑んでくるであろう快速ドリブラーに注目したい。
大宮アルディージャ(AWAY)
※恐らくボランチの左右が逆です。スイマセン。
高木監督が今季から本格的に3421と442の併用を明言しているが、システムの噛み合わせの観点から442相手には3421でのスタートが多そう。
水戸サポーター期待の黒川については、コンディション不良のためベンチ入りも不透明の可能性が高い(2/9のPSM時点)。また、新加入の外国籍GKであるクリャイッチも沖縄キャンプから離脱しており、メンバー入りの可能性は低いと考えられる。
PSMのメンバーに加えてTM相模原戦で好プレーを見せていた奥抜・マキシメンコ・ボランチコンビ(石川&大山)の抜擢の可能性は十分あり得る。また、攻撃への関与に問題を抱えているGK笠原に代わってGK加藤がスタメンに抜擢されるかもしれない。
水戸の攻撃(大宮の守備)で注意したいポイント
L.Lさんの茨城サッカーフェスティバルのレビューを参考にします。
ちなみに、これ以降に書いている大宮の守備の攻略法は昨シーズンもよく見られた形です。今後も3421で戦う際に狙われることが多いと思うので覚えていて損はないと思います。
大宮の守備のポイントはシャドー(菊池・奥抜)の背中側に広がるスペースをどう埋めるのかということが重要になると思います。
基本的には4バックの選手の間で左右にボールを大きく動かし、シャドーのスライドが間に合わなくなったタイミングでSBを起点にボールの前進を試みだすでしょう。
選択肢としては、
①『ドリブルでそのまま運んでFW+SH+SBの3人でサイドの深い位置を突破}②『DH(ボランチ)の選手が流れてボールを受け、DH+SH+SBの関係性でサイドの深い位置を突破』
この辺りがメインになると思います。
しかし本当に危険なのは大宮のボランチ(DH)がサイドに動かされて、CB⇒CFへの縦パスのコースが開通してしまうことです。
CB⇒CFへの縦パスをきっかけに、内側に絞ったSHとのワンツーで大宮の最終ラインの裏を狙ってくる可能性が非常に高いです。特に狙われるのは、CB⇒CFへの縦パスのインターセプトを試みて前に出てくるHVの背中ではないでしょうか。
シャドーの背中を狙われてボランチが動かされると危険ですので、基本的にはシャドーの背中や脇は5バックが縦横にスライド(移動)して埋めることになると思います。
大宮側の守備で重要なのは5バックの選手間でのマークの受け渡しでしょうか。
水戸としてはこのような試合の流れを作れると完璧でしょう。
- SBへのプレス試みて縦にスライドしてくるWBの裏狙い
- 裏を狙われてWBが縦にスライド出来なくなったところでシャドーの背中狙い
- シャドーの背中のスペースを埋めようとするボランチを動かしてCB⇒CF縦パス狙い
- 大宮が523を維持できなくなり541に変化したところで、1トップ脇を占有
※541になって大宮がカウンターへの移行が困難になる) - 1トップ脇のエリアを埋めようとするシャドーやボランチを動かしてその背中のスペースを利用する。
大宮の攻撃で注目したいポイント
PSMを見た限り、今季の大宮はビルドアップ(ボールの前進)で選手間のポジションチェンジを多用します。
海外サッカーを観られる方はアタランタをイメージすると解りやすいかもしれません。
昨シーズンから指摘している部分ではありますが、ポジションチェンジの際に重要なのは全体のバランスが崩れないかどうかです。
全体のバランス(配置のバランス)が崩れることは、本来いるはずの場所に人がいない状態ですから、このような問題をチームにもたらします。
- ボールを失った後にカウンタープレスをかけられない(ボールの再奪回を直ぐにできない)
- カウンターでスペースを活用される
- ボールがスムーズに動かない(中継地点となる選手がいない)
PSMで見られたビルドアップのパターンの一部はこちら。
1枚目の画像は昨シーズンでもよく見られた形ですが、2枚目の画像のパターンは今シーズン新たに取り組んでいる形です。
2枚目の画像のパターンはポジションチェンジを伴いますから、全体のバランスが整っているか(選手が移動したことで生まれたスペースに他の選手が移動しているか)を中止すると面白いかもしれません。
また、ボール前進後に相手のPA内へ入っていく段階で気になる部分がありました。
それは、ボランチの選手が2人とも攻撃に関与してしまって中盤に誰もいなくなるシーンが多々見られたことです。
ナシオナル戦では小島と三門の2人が前線に移動してしまい、3バックの前に広大なスペースが生まれてそこをカウンターの起点とされていました。
今季の大宮はボール喪失後の即時奪回を掲げていますが、そのためには即時奪回できるポジションバランスを整えて攻撃する必要があると思います。
そのためには中盤にフィルター役(相手の使いたいエリアを埋める)選手が必要となりますが、大宮の場合は左右のCB(HV)とボランチが担うことになります。
ビルドアップでも指摘した全体のポジションバランスを喪失すると生じる問題を考慮すれば、これがマズい状態であることは理解できると思います。
ちなみに、ネガトラ(即時奪回)だけでなくサイドチェンジの中継地点もこの図では失っていることになり、攻撃面でも問題を生じています。
相手陣地深くまでボールを運べたときにボランチの2人の選手のポジショニングは適正かどうか、前線に移動するならば代わりにスペースを埋める選手がいるのかどうかという部分は注視する必要があるでしょう。
まとめ
- 水戸が狙いたいのは大宮のシャドー周辺のスペース
- 大宮は最終ラインの縦横スライドをスムーズに行えるかがポイント
- 今季の大宮はポジションチェンジを多用する新しいビルドアップの形に取り組んでいる
- 攻撃をしているときに全体のバランスが崩れていないか注視する必要
- 攻撃時にバランスを維持し続けることは、ボールを失ったあとに直ぐに奪い返すことに繋がる。
- 両チームともに関係が深い選手が多い(松井・松崎・ンドカ・小島・黒川)
- 新型コロナウイルス対策のためにもマスクの着用や体調管理を万全に
- 2020年シーズンの開幕戦。勝って大宮に帰ろう!