Omiya Park Life

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by 大宮戦術談議会

【レビュー】2020年J2リーグ第4節 大宮アルディージャvs東京ヴェルディ

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試合結果

大宮1-0東京V

www.youtube.com

 

 

1.はじめに

イエエエエエエエエエエエエエイ!!!

四連勝!!!

首位キーーーーーーーーープ!!

俺たちは強いぞー!!!

 

久しぶりの有観客試合でしっかりと勝利を収めた大宮アルディージャ
開幕戦からの4連勝はクラブ史上初の出来事らしいです。
ちなみに最後に4連勝したのは、昨季の長崎戦(6節)~町田戦(10節)の5連勝までさかのぼります。だいたい1年ぶりの出来事。

 

チームのベースに関してはメキシコさんの千葉戦レビューをお読みいただければいいと思うので、私はヴェルディ戦について書きます。

omiyadangikai.hatenablog.com

 

 

2.両チームのスカッド

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≪大宮≫

  • クリャイッチと戸島が加入後初のスタメン
  • 2試合連続でシャドーの位置で先発出場していたイッペイがベンチ
  • 俺たちの高田くんもベンチ入り

≪東京V≫

  • 永井政権2年目
  • 元大宮のショーヘイは出場停止
  • GKマテウスが加入後初のスタメン
  • マテウスの髪型かっこいい

 

この試合でポイントとなったのは、シャドーと左WB(山下選手と対面する選手)の人選ではないでしょうか。

 

東京ヴェルディは福村の偽SB・端戸のゼロトップ化をきっかけにして各選手がポジションを移動していきます。
各選手のポジションの移動によって生まれるマークのズレを利用していくことがヴェルディの狙いになってきます。

つまり、大宮からするとブロック守備を行う際のシャドーの選手のポジショニングやプレスのコース取りが大切になってきます。

2節と3節までの試合を見ると、イッペイ選手はボールを保持している場面やカウンターの場面では非常に大きな威力を発揮していましたが、守備ブロックの一員としての役割はあまり上手くこなせていませんでした。

そのため、守備時のポジショニングやプレスが上手である黒川選手と近藤選手の2名をスタートから起用する選択をしたと考えられます。

カウンターで威力を発揮するようなイッペイ選手と高田選手をベンチに置いていたことから、後半途中までは守備的な戦い(安定した戦い)をしつつ、ヴェルディが前がかりになってきたタイミングでスピードのある2選手を投入してカウンターで試合を決めてしまう想定していたのではないでしょうか。

 

酒井選手の起用は、ヴェルディのサイドチェンジへの対策だったと推察します。
ヴェルディは様々な状況でWGの選手を狙ったサイドチェンジを頻繁に狙ってきます。効果的かどうかは別の話ですが。
サイドチェンジが成功してしまうとスピードに自身があるWGの選手、とりわけ右WGの山下選手にスペースを与えてしまいますから、サイドチェンジのボールに対してサイズとフィジカルに自身がある酒井選手を起用することで跳ね返そうとしていたと推察しています。

 

ちなみに、この3名の起用は試合前に予想して言い当てていました。
やったぜ。褒めてほしい。

 

 

2.シャドーの守備タスク

前章で述べたように、ポジションチェンジによるマークのズレを利用したいのがヴェルディの狙いとなります。
そのようなチームに対して大宮のシャドーである黒川と近藤はこのような守備タスクを担っていました。

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福村の偽SB

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ヴェルディの狙いどころ/シャドーの守備タスク

ヴェルディが325風味のときには基本的にシャドー役の選手へのパスコースを切る立ち位置を取りつつ、ボランチ役の選手を監視する役割を担っています。
するとヴェルディは中央からの前進方法を失うので、SB役の選手が現れます。
左サイドではボランチ役だった福村選手がSB役を、右ではCB役だった奈良輪選手やシャドー役だった藤本選手が多かったのではないでしょうか。
SB役の選手が現れると、ヴェルディはSB役選手を経由してサイドからの前進を試みますが、このタイミングで近藤選手と黒川選手はSB役へのプレスを開始します。
これが大宮のボールの奪いどころとなっていました。
無理なシャドーへの縦パスや316状態でのバックパスもボール奪取の狙いだったりしましたけどここでは割愛します。

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両シャドーの選手が後方への蓋をするような立ち位置を取って、ヴェルディのWGやシャドーを挟み込んで奪取するような形が多かったのではないでしょうか。

3.カウンターとポゼッションの選択

ボールを奪取した時の立ち位置がそのままカウンターとポゼッションの安定化をはかれるポジションになっていたと思います。

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ワンボランチ気味になることが多かった佐藤選手の両脇のスペースを戸島選手が降りたり、逆サイドのボランチやシャドーが入ってくることでカウンターとポゼッションの安定化&サイドチェンジの起点となっていたと思います。

ボールサイドのシャドーは真っすぐ対面しているヴェルディのSBの背中を取ること、逆サイドのWBは同じく対面しているSBの選手の脇のスペースへと走りこむことは既定路線になっていたと思います。

基本的には同サイドのシャドーと逆サイドのSBの立ち位置・ヴェルディの選手の帰陣スピードなどを踏まえて同サイドからのカウンター・逆サイドからのカウンター・ポゼッションを選択していたと思います。
ボールを奪取して数秒後のフェーズにおいて、小野選手は多くのシーンで関わっており、この辺りの判断とドリブルのコース取りやパスの質は素晴らしかったと思います。

ちなみに、相手陣地での崩しについてはカウンターでもポゼッションからの崩しでも共通して相手SBの奥をWBが走りこむ形を利用していました。

 

4.ヴェルディの235ビルドアップとイッペイの登場

後半からヴェルディは藤田選手を投入して明確に235の形でビルドアップを行ってきます。大宮の3トップに対して5人もかける必要がありませんからね。

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ヴェルディのによって、大宮のFWは二度追いの必要性による運動量の増加、シャドーは3つのプレー選択(CBへプレス?SBをマーク?シャドーへのコースを切る?)と二度追いによる運動量の増大を強要されることになります。

一方で、カウンター時には3トップの選手がヴェルディのアンカー~SB間に広大なスペースを得ることになりました。

つまるところ、大宮の3トップの体力が尽きるか、マークの受け渡しのズレが生じ始めて守備が決壊するか、カウンターで大宮が追加点をとって試合を決めるかという3つのうちどの結果が一番最初に生じるかという状況になります。

この様な状況に対して、高木監督はシャドーの運動量の回復とカウンターで試合を決める狙いでイッペイを投入します。
ちなみにイッペイはブロック守備では不安な部分があるので、守備面の不安を取り除きつつカウンターを捨てない為にも、試合終了が近づいてきた80分ごろの富山投入に伴い1トップへとポジションを変更しています。

5.ほぼ二種類だけしか披露しなかった大宮の崩しと大宮の強み

この日の大宮が利用していた攻撃方法は主に2つだけでした。

1つ目は、同サイドに多くの選手を集め、近藤&戸島の選手の落としを利用して密集の中で前を向いてフリーとなった小野や近藤が逆サイドの酒井(翁長)へとサイドチェンジをして一気に前進する方法。
これはライン間をシャドーの選手が横断しながら逆サイドを利用する場面もありました。

2つ目は同サイドでシャドーの降りる動きとWBとボランチ間でのパス交換で相手のSHとSBの視点をWBから外させ、WBが相手のSBの裏を取る方法。

ほとんどこの形でシュートまで持っていきました。

これ以外にもサイドの高い位置でのHV選手の攻撃参加によるこのようなパターンもあったりします。ほとんどこの試合では見ませんでしたが。

  1. チャンネルランによるPA内への侵入
  2. チャンネルランする選手をデコイにしたペナ角の占有
  3. HV&シャドー&WBの旋回による相手のマークのズラし

この試合では逆SBの奥やファーポストを狙う攻撃がほとんどでしたが、5バック型のチームと対戦する際にはこのようなチャンネルランを利用した攻撃を見ることが出来ると思います。

図を作るのは体力の限界だったので許してください。
そのうち紹介するので文章で許してください。社会人はつらいよ。

6.今の大宮の強みって?(さいごに)

①守備ブロックの強固さだけでなくプレッシングの選択肢も取れる

②ボール奪取後に状況に応じてポゼッションも速攻も選択できる

③密な状況を利用して、ボール保持時に逆サイドと同サイドで複数の攻撃方法を相手に強いることが出来る。

④密な状況を利用して、ボール喪失後にハイプレスを行って再攻撃が可能

 

こんなところでしょうか。

たぶん今の大宮は隙が無いチームになりつつあると思います。

一方で、シャドーに多大な守備タスクを強いることやFWの選手層の薄さという部分はネガティブな部分として抱えていますから、対戦相手によって上手いことシャドーの選手起用を変えていけるかどうかというのが今後のカギになるかもしれません。
シャドーの選手起用を見ると、高木監督がどのような試合想定をしているかなんとなく分かってくるかもしれません。

 

スタジアムでの応援を楽しめない状況ですが、こんなときこそサッカーの中身や結果を楽しんでいきたいですね。

 

おわり!久しぶりのレビューはつかれた!

次にレビューを書く時にも首位だといいな!