Omiya Park Life

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by 大宮戦術談議会

現代型CBアレクサンダー・パンティッチ選手加入の噂

1.新外国人選手加入の報道

 先日報道されたセルビアリーグ得点王のFWネルミン・ハスキッチ選手に加えて、セルビア人のDFアレクサンダー・パンティッチ選手の大宮加入がセルビアメディアによって報道されています。

 今回の移籍には大宮アルディージャOBで、現在は代理人として活躍しているムルジャが関与しているとのこと。

サンキュームルジャ!サンキューな!

 

大宮アルディージャ公式からの加入リリースはまだですが、新助っ人外国人選手のアレクサンダー・パンティッチ選手について話していきたいと思います。

2.経歴

1992年4月11日生まれの27歳のセルビア人DFで、U-19セルビア代表・U-21セルビア代表での出場歴がある選手です。

2011年にセルビアリーグのFKラド・ベオグラードでプロキャリアをスタートさせると、翌年にセルビアの名門レッドスター・ベオグラード(大宮加入前にムルジャが所属していたチーム)に移籍します。
2013年にはスペインリーグ1部のビジャレアルに完全移籍します。
2017年までにスペインリーグ1部のコルドバCFSDエイバルアラベスにレンタル移籍で加入し通算で60試合に出場します。エイバル時代は元日本代表MF乾選手の同僚として活躍しています。
順調なキャリアを歩んでいたものの、アラベス所属時代にはアキレス腱と筋肉を連続で負傷し、これが影響してスペインでのキャリアが終わることとなります。
16/17シーズンの冬の市場でウクライナリーグの名門ディナモ・キエフに加入し、このシーズンは主力のCBとして活躍します。
しかし、17/18シーズンの夏の市場で加入した2名のCBコンビに定位置を奪われ、18/19年シーズンの冬に買取オプション付きのレンタル移籍でスペイン2部のカディスFCに放出されます。
カディスFCに加入するも直後に膝を負傷し、半月板損傷の手術を受けています

半月板損傷の影響で今年の夏にカディスFCとディナモ・キエフから放出され、現在はフリーの状況となっています。
手術から既に8か月以上経過していることから、実践に復帰できる状況であると想像できます(一般的に3~4か月程度で実践復帰すると言われている)。

3.プレースタイル

エージェントが公開しているディナモ・キエフ時代とビジャレアル時代及びレッドスター・ベオグラード時代のプレー集、リーガ公式が公開しているSDエイバル所属時代のバルセロナ戦フルマッチ映像を確認しました。これらの映像を基に話していきたいと思います。

 

左右のCBと右SBでの出場経験があるようですが、主戦場は右CBでしょう。

彼の特徴は『次のプレーへとスムーズに繋げられるボールの受け方』『判断の速さ』だと思います。
つまり、ビルドアップに特徴がある選手です。

ボールの受け方が非常に上手いので、ピッチ上の状況を素早く認知し、どこにボールを供給するのかを素早く判断することが出来ます
ロングパスとショートパスの質が非常に高いことから、味方の選手が適切な立ち位置(パスを受けれる立ち位置)にいれば簡単に相手のプレッシャーを回避してボールを前進させることができます。


身体的な能力については、空中戦は欧州で一般的なレベル(日本国内ならば十分に強い)ですが初速が非常に早い選手です。アジリティについては未知数ですが、背後に出されたボールに追いつく動きや目の前の選手に詰める動きは高いレベルで期待できると思います。

キックの質と初速が速いことからSBで起用された際には少し低めの位置でアーリークロスを供給したり、相手DFの背後に飛び出す動きがほとんどでした。
ドリブルで相手を抜くようなプレーは多くなかったので攻撃時の対人能力はあまり高くないのかもしれません(そもそもCBとしては必要のない能力です)。

確認した映像ではCB起用時もSB起用時も自身でボールを運ぶ動きがほとんど見られなかったためドリブルが苦手なのかと思いましたが、私のフォロワーさんはこのように指摘していました。

 
彼のプレーついてまとめるとこのようになります。

  • ビルドアップが非常に上手いDF
  • 彼を活かすには味方選手のポジショニング(パスコースを作る動き)が重要
  • アジリティは未知数
  • 初速と判断が非常に早いので一定の距離にいる選手に対する守備は強い
  • 欧州によくいる現代型CB
  • 怪我さえなければ欧州5大リーグで活躍しているレベル

4.大宮での起用法

河本・西村・畑尾との兼ね合いになると思いますが、3バックの中央が主戦場になると思います。場合によっては3バックの右での起用もあり得るかと。

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中央のCBのパスの選択肢

というのも大宮の3バックの左右CBは相手のFWの脇のスペースでボールを受けて自らボールを運ぶことが求められますし、4バック化の際にSBのような仕事を求められます。このような仕事は西村や畑尾の方が長けています。

また、中央にいれば彼の判断力と高い質のパスを活かしてサイドだけでなく中央からもボールを前進していくことが可能です。

彼を起用するうえで重要なのは他の選手が素早くパスコースを作る(あるいはパスを受けれる位置に立つ)ことです。
味方選手のこのような動きがなければ彼の特徴は半減してしまいます。
そういう意味では、小島・三門・翁長・近藤・黒川との相性は非常に良いと思います。


守備面では中央の選手に求められる空中戦の強さはクリアしていますし、初速の速さと認知能力の高さを利用して左右の選手のカバーリングも高いレベルでこなせるのではないでしょうか。

 

彼の加入は今シーズンの課題だったボール保持の問題解決の手助けとなるでしょう。
また、ハスキッチの記事でも指摘した目指すチームコンセプトに基づいた補強という面でもパンティッチ獲得は理に叶っている補強だと言えます。

詳しくは以下の記事を参照してください。

omiyadangikai.hatenablog.com


半月板負傷の影響でメディカルチェックを通過できるかどうかが不安ですが、大宮アルディージャ公式からの発表を楽しみに待ちましょう。

 

では。